基調講演
世界が求める日本の医療と臨床工学技士
世界が求める日本の医療と臨床工学技士
世界が求める日本の医療と臨床工学技士
(TICO ザンビア大学病院心臓外科チーム養成プロジェクトの経験から)
青木 郁香、菊地 眞
公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所
TICOは,20年以上ザンビアで主に保健医療の分野で協力活動を行ってきた.
この間に乳幼児死亡率は190/1000から60(日本3)に改善された.
活動を始めた頃は,栄養改善やマラリア/エイズ/結核などの感染症対策,安全な水やトイレの普及などの優先順位が高く,我々もそのような活動を行ってきた.しかし,近年の著しい経済成長に伴って人々の生活は一変している.特に都市部ではショッピングモールが乱立し,自動車も激増,町中が大渋滞するようになった.
これまでアフリカだからしょうがないと諦めていた心臓病に対しても,適切な医療が求められる時代がやってきた.先天性心疾患とリウマチ性の弁膜症はかなり頻度が高く,まだまだ日本よりも悪い乳幼児死亡率をさらに改善するためには外科治療が必要である.また,生活習慣の変化により虚血性心疾患も激増している.血管造影とインターベンション,バイパス手術のニーズは非常に高まっている.
しかし,ザンビアに一つしかない大学病院でも心カテ/心臓外科手術は,外国人チームが気まぐれに少数例を実施するのみであった.ザンビア人スタッフへの教育/トレーニングはほとんど行われて来なかった.ザンビア大学学長からの強い要請で心臓外科チーム養成プロジェクトが昨年スタートし,ウェットラボ,PDA手術,ASD手術を実施,外科医4人と看護師1人の徳島での研修も行った.
このプロジェクトの最も重要な要素は,外科医の技術と人工心肺を回す技術の習得である.また,これまでアフリカに対する医療援助で常に問題になってきたのは,医療機器を提供しても適切に維持管理できず,すぐに壊れて埃をかぶってしまうことである.心臓外科では,様々な医療機器を適切に使用し,維持管理しなければならない.世界唯一の国家資格である日本の臨床工学技士の貢献が非常に期待されている.
今後の私の夢は,現在トレーニングを受けているチームが近い将来ザンビア国立循環器センターを担っていく人材になること,そして,臨床工学技士学校を作りザンビア人のみならず周辺の国々からも留学生を受け入れることである.
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