大会長招請講演

高い志を持ちながらチーム医療を実践し、継続して存在意義を確認する

廣瀬 稔
北里大学 医療衛生学部 医療工学科 臨床工学専攻

 臨床工学技士法か公布されて31年が経過した.この間に,多くの新たな工学的医療技術が普及し拡大を続けており質量とも増加し続けていること,医療機器に係る安全確保のための体制確保の義務化などにより臨床工学技士を取り巻く医療環境は,法施行時とは大きくの変化している.特に臨床工学技士の業務は生命維持管理装置の操作と保守点検を基本としているが,単に生命維持管理装置のみではなく,医療機器全般にわたり「安全管理ができる人材,医療の安全を担保できる人材」が求められてきていると考える.つまり,医療システムの中での総合的な管理,運営,他部門との調整役として力を発揮しながら病院経営に具体的に貢献できる人材ということになり,今後の臨床工学技士のあるべき姿のひとつと考える.また同時に,根拠をもって論理的に考えられる人材で,将来にわたり高度な医療技術を駆使し,チーム医療の一端を担う一員として患者や他の医療従事者に安心で安全な医療を提供できる「質の高さ」も求められている.このためには,日頃から関連職種との連帯協調による専門性を活かしたチーム医療を遂行することは勿論のことであり,臨床工学技士個人や臨床工学技士部門としても,志を高く持ち業務や関連分野での研究活動(発表のみではなく論文の執筆を含む)を積極的に行い,自ら資質の向上に努め,信頼される高い専門的技能を身につけることが重要である.また同時に,新人教育などにおいては,「共に学び,共に育つ」という考え方と,それを支援する環境や文化を構築するような努力が必要である.
 今後は少子・高齢化社会が急速に進むことで,医療体制も大きく変化することが考えられる.そのため時代の著しい変化に対応できるテクニカルスキルとノンテクニカルスキルに関する知識と技術をバランス良く併せ持つことが重要である.
 本セッションでは,臨床工学技士としての業務経験と教員としての学生教育の経験などをもとに,僭越ながら後進の方々へのメッセージとして届けさせていただく予定である.

CLOSE
© 2018 第8回中四国臨床工学会. All Rights Reserved.
Produced by オンライン演題登録システム・査読システム|演題登録.com|