ワークショップ 2
若手委員会企画
これからどうする?~今の若手CEが出来ること

徳島県Y・ボード担当が思うこれからの臨床工学技士とは?

竹内 教貴
一般社団法人徳島県臨床工学技士会 徳島県Y・ボード担当

 臨床工学技士(以下,CE)は医療機器の安全性確保と有効性維持の担い手として誕生し,呼吸治療,人工心肺,血液浄化,手術領域や集中治療など,今日に至るまでに,多種多様な業務形態へと進化を遂げてきた.その中でも当県では血液透析業務に従事しているCEが特に多く見受けられている.これは当県が14年連続糖尿病死亡率ワースト1位という不名誉な記録を持っていたことからも,地域としてCEにこの部分でのサポートが求められてきたという事実に他ならない.それに答えてきたからこそ現在の我々があり,専門性に特化したスペシャリストの人材育成に繋がってきたのだと考えられる.
 このスペシャリストを有する徳島県臨床工学技士会では2014年に若手CEの育成と活動場所の提供を目的に若手委員会が設立された.当初は活動するにあたり,試行錯誤を繰り返したが,血液浄化領域の基礎的研修会の開催や,CE認知度向上活動支援のためのオリジナルリーフレット作成などを経て,現在では若手CEだけで専門性を維持していくための企画検討ができるまでに発展した.
 しかし,2025年問題などをかわきりに,国内での血液透析療法の在り方は議論が深められている.在宅医療や腎移植の普及が急がれる中,iPS細胞などの再生医療の活用やナノテクノロジーを用いたウェアラブル透析システムの構築など,血液透析業務は「慢性維持」から「一時的措置」へ,さらに「治癒」の領域へと歩みを進めようともしている.つまり,我々がこれまで築きあげてきたものが大きく変わろうとしているのである.
 では,我々がこれから成していくべきこととは何なのか?「治癒する」ということは,我々が介入しなくてよい,つまり「必要でなくなる」といえるのかもしれない.そうなってしまえば,血液透析業務を主に生業としてきた当県のCEは今後崩壊してしまう恐れがある.このような状況を打開するには,専門性に特化したスペシャリストではなく,総合的に周囲を見通し判断できるジェネラリストとしての能力を育んでいくことが求められる.また,それには職能団体としての情報把握や協力体制,未来を創る若手CE同士のつながりをより密にする仕組みの構築が重要な意味を成してくるとも考えられる.
 本項ではこういったCE業務の未来と共に,職能活動の意義なども踏まえて,これからの若手CEの在り方について議論を深めていきたい.

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