ワークショップ 1
男女共同参画企画
女性臨床工学技士の最前線~これが私の生きる道~

女性の臨床工学技士として臨床現場で働くことの意義

須賀里香
埼玉医科大学総合医療センター 臨床工学部

 現在では,臨床工学技士として働く女性の割合も4割に達し,臨床工学技士を志す学生においても,学部の半数を女性が占める所も出てきたと伺います.しかし,私が技士になった当初,配属された部署では私以前に女性の技士の配置はありませんでした.仕事を始めるにあたって直面したのは,更衣室とユニフォームの問題でした.そんなことが問題になるくらいですから,男性社会だった部署で女性でも認めてもらえるためにはどうすればいいかという問題は,仕事を覚える事と同じくらい重要な課題でした.自身の行動を振り返っても,空回りをしていた恥ずかしい思い出がよみがえります.
 近年行政の指導のもと,男女共同参画への取り組みが推奨され,いたるところで耳にするようになりました.以前から,男女平等という言葉は当然わかっていましたが,働くことで理念と現実の違いに直面したと思います.だからこそ,「やっぱり女性だから」と思われたくない一心で働いたつもりですが,その行動をみて,女性だからと一蹴されることも長らく続いていたと感じています.そんな私もキャリアを重ねることで少し考え方に変化が現れました.それは,男女平等だからといって,同じことを同じようにすることが平等ではないという考えです.仕事をして感じたことは,男性と女性では思考方法が根本から違う事,そして男女別としての個性と特徴を持っていることです.それぞれに得意な事を提供し,不得意な分野を補うという考え方で行動する,でいいのではないかと思うようになりました.以降,私の中の男女共同参画は大きな意味でこのように解釈しています.  現在の臨床現場に限定すれば,性別の違いは問題ではありません.求められる知識と技術を提供できるかどうかが評価です.また,勤務体系の問題は女性だけの問題と割り切ることは出来ません.更に,個々の個性とは別に,臨床現場だけでなく臨床研究においても,女性の「女性らしさ」は必要不可欠の要素です.
 今回は,自身の現在に至るまでの経験と現状から,仕事において必要な「女性らしさ」,不必要な「女性らしさ」に触れ,仕事を始めた当初,自身が目指した技士像と現在の活動について提示していきたいと思います.

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