BPA2-5
長時間透析における脱血圧変化・時間変化がポンプチューブの劣化と流量特性に与える影響について
北川 園茄、中村 勇太、武藏 健裕
広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科
【はじめに・目的】
現在,標準的な週3回1日4時間の透析に加えて,近年では患者のニーズに合わせた長時間透析やオーバーナイト透析,頻回透析など様々な透析が可能となってきている.血液透析回路の標準的な使用時間である4時間を超えた透析では,回路にかかる負荷がより大きくなるものと推測される.本研究では,血液浄化用ローラーポンプを長時間運転させた際にかかるポンプチューブの劣化が,流量特性に与える影響について実験的に検討した.
【方法】
血液透析回路(JMS:JJ-L2000)と血液浄化装置(日機装:ADC−27)を用いて循環回路を作製した.恒温槽にて37℃に加温した水道水を灌流液として使用し,毎分200mlで流した.クレンメを用いて脱血圧が-50,-150,-300mmHgとなるように維持した.メスシリンダー,デジタルノギス(新潟精機株式会社:DT-200)を用いて開始時,4,8時間後の実流量と外径を測定した.さらにデジタルマノメーター(HODAKA:EM-W)と血管形成バルーン用加圧器(ペルーズメディカル社:アンギフレータ)を用い,吸引負荷(-1,4,7,10,13ml)に伴う圧力変化を測定しコンプライアンス(ml/mmHg)を算出した.各条件にて5回ずつ測定し,統計学的解析はstudent´st検定にてp<0.05で統計学的に有意な差があるとした.
【結果】
脱血圧が-50mmHgの場合は,時間経過による実流量の変化に有意な差は認められなかった.しかし脱血圧の陰圧が強くなるにつれて実流量は有意に減少し,脱血圧-300mmHgにおいては,開始直後と比較し8時間後では-8.3%の有意な流量低下が認められた.ポンプチューブの形状変化は,時間経過に伴い,ポンプに押し潰される方向の外径は減少し,それと垂直方向の外径は増加する傾向を示した.さらに,吸引負荷に伴うコンプライアンス変化については,脱血圧-50mmHgと比較し-300mmHgにおいて有意に増加し,時間経過による影響は認められなかった.
【考察・まとめ】
短時間でも極度の陰圧が発生した場合にはコンプライアンスの増加が認められ,これによりポンプチューブが虚脱しやすく・元の形状に戻りにくくなり,実流量が減少したと考えられる.
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