BPA2-4
Nasal High Flow(NHF)における設定流量及び開口率の変化が
CO2洗い流し効果に与える影響について
井上 翠、河村 将煕、武藏 健裕
広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科
【はじめに・目的】
Nasal High Flow(NHF)は鼻咽頭腔の呼気ガスを洗い流すことで,CO2の再呼吸を防ぎ死腔量が軽減される.CO2洗い流し効果は設定流量や開口状態に影響を受けると考えられるため,これら要因の変化がCO2洗い流し効果に与える影響について実験的に検討した.
【方法】
TTLモデル肺(MICHIGAN INSTRUMENTS:2600i)の左右両肺を固定し,片肺を人工呼吸器により換気することで自発呼吸モデル肺(以下,モデル肺)を作成した.モデル肺に模擬気道とYピースを接続し,Yピースの片方へ模擬口,もう片方へ模擬鼻腔と模擬鼻を接続した.また模擬鼻に鼻カニューレ(Fisher&Paykel:Optiflow:Mサイズ)とNHF装置(Fisher&Payke::AIRVO?)を接続した.模擬口の開口率は0,5,10,15,20,40,60%となるように作成した.NHF装置の流量を30,40,50,60L/minに設定し,人工呼吸器(MAQUET:SERVO-S)は一回換気量470ml,呼吸数15回/分,I:E 比1:2に設定した.カプノメータ(日本光電工業株式会社:OLG-2800)はモデル肺と模擬気道の間に接続し,自発呼吸時にPETCO2が40mmHg(炭酸ガス流量:30ml/min)となるように設定した.開口率5%を正常状態とし,設定流量と開口率を変化させ各条件にてPETCO2の変化を5回測定した.結果はStudent’ st検定を行い,p<0.05にて統計学的に有意な差があるとした.
【結果】
正常状態では設定流量30,40,50,60L/min時,PETCO2は順に28.0,27.0,26.2,26.0mmHgを示し,設定流量が大きくなるとともに有意に低下した.また開口率を上昇させた場合においても同様な結果が認められたが,高流量設定では開口率が増加してもPETCO2の減少は小さくなった.
【考察】
高流量設定時に開口率増加がPETCO2減少に与える影響が少なくなったのは,高流量によって吸気時の口からのリークが増加するためだと考える.そのため,設定流量の方が開口率よりもCO2洗い流し効果に与える影響が大きいと考えられる.
【結語】
CO2洗い流し効果を得るには設定流量と開口率を考慮する必要があるが,開口率よりも設定流量が及ぼす影響が大きいと示唆された.
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