BPA1-6
生理心理学的観点から見た医療機器のユーザビリティ評価に向けた基礎研究 −PC操作快適度に関連した生理学的指標解析−
笠井 亮佑、伊藤 奈々、上條 史記、加納 敬、荻野 稔、田仲 浩平、篠原 一彦
東京工科大学 医療保健学部 臨床工学科
【背景】
医療機器のユーザビリティ評価要素は, 機器操作による出力系に関連した「操作性」, 機器認識による入力系に関連した「認知性」, 機器操作に伴う人間の感性系に関連した「快適性」の3つに分類されると考えられる.これらのうち, 特に「快適性」の評価においてはアンケート調査等の主観的指標が一般的である.しかし, 主観的評価法では, 評価結果の信頼性が不安定であり, 再現性が低く, 定性的となる可能性がある.そこで我々は, ユーザビリティ評価の信頼性の向上や公正性の確立, 定量的で客観的に評価できることから, 生理心理学的観点から見たユーザビリティ評価の研究を行っている.
【目的】
生理学的指標を用いたユーザビリティ評価の基礎研究として, PCマウスの操作性の違いによる脳中枢神経及び自律神経機能活動を抽出し, 医療機器におけるユーザビリティ評価の応用について検討する.
【方法】
マウスポインタ移動速度を3段階に変更し, Trail Making Testを実施した.生理学的評価として, 脳波及び指尖容積脈波を測定した.脳波計はMUSE BRAIN SYSTEM®(デジタルメディック社), 脈波計はバックスディクスター(CCI 社製)を用いた.解析対象は, 脳波はθ波, α波, β波とし, 脈波は, 脈波最大振幅値, 脈波長とした.タスク①は標準速度, タスク②は最速速度, タスク③は最遅速度に設定した.タスク①は「操作性が良い」, タスク②と③は「操作性が悪い」負荷項目とした.タスク終了後に主観的評価として操作性評価質問紙に回答してもらい点数化した.得られた生理学的評価と主観的評価の結果を比較した.
【結果】
操作性評価得点が低い場合に, θ波出現率, β波出現率が高値を示し, α波出現率が低値を示した.また, 脈波最大振幅値及び脈波長が低値を示した.
【考察】
PCマウスの操作性の違いによる想起や情動の調節活動及び外的刺激による精神作業負荷ストレスに差異が生じたことにより, 脳機能活動、中枢(体幹部)領域及び末梢(遠位)血管領域の交感神経活動が変化することを認めた.
【結語】
PCマウスの操作性の違いによる脳中枢神経及び自律神経活動は, 被験者の主観的評価との相互関係性を示しており, 操作性評価定量化のための指標として有用である可能性が示唆された.今後は, タスク実行評価を比較し, 医療機器を用いたユーザビリティ評価に応用していく.
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