BPA1-5
医用コンセントの保持力試験実施時に生じる測定値の個人差とその要因の検証
淺原 佳江(1)、井上 いづみ(1)、片岡 祐美(1)、佐藤 玲奈(1)、堀 純也(2)
- 倉敷芸術科学大学 医用科学教育センター
- 岡山理科大学 理学部 応用物理学科
【はじめに】
医用コンセントの性能は,JIS T 1021により規定されており,その基準を満たしたものが施設で用いられている.コンセントの刃受の保持力は,定格電流15A接地極付試験プラグを使用した場合,15〜60Nと定められている.また,保持力試は,試験用プラグを引き抜く方向にまっすぐに引っ張り加重を除々に加えて実施することになっている.しかしながら,引っ張り加重の加え方によっては個人差が生じる恐れがある.そこで本研究では,規定に従い医用コンセントの保持力試験を実施した場合に生じうる試験結果の個人差について検証するとともに,その改善策について検討した.
【方法】
医用コンセント(WF5018,パナソニック製)を取り付けた自作の電源パネルと試験用の医用3Pプラグ(WN1318,パナソニック製)を準備した.協力者5名に,JIS規定に従った試験方法に準じ,次の手順で操作を依頼した.まず試験に先立ち,プラグの抜き差しを5回実施した.その後プラグ末端にディジタルフォースゲージ(AD-4932A,エー・アンド・デイ製)を取り付け,一様な割合でまっすぐにプラグの引き抜きを行い,最大荷重を計測した.これを3回実施し,測定値の平均値を求めた.同時に,標準偏差と変動係数を求め,実験方法の統一性について検証した.なお,医用3Pプラグは試験毎に清拭した.実験中は,医用コンセント上部及び側面部より動画を撮影して画像による評価も行った.
【結果】
協力者5名による最大引っ張り荷重の平均値は,JISの基準値内であった.しかし,全体的に値にばらつきが見られた.個人毎で比較した場合,ばらつき方に差があり,中にはJISの規定より低値を示した場合もあった.動画解析より,プラグの引き抜き方向が,医用コンセントに対して垂直になっておらず,弱い傾斜がかかっていた.また,引き抜き時間にもばらつきがみられた.
【考察】
今回の実験では,最大荷重・プラグの引き抜き方向・引き抜き時間にばらつきがみられた.JIS規定に記載された通りに試験を実施しても,引き抜き角度に傾斜があったり,引き抜く時間が早すぎると容易に個人差が生じることがわかった.最大荷重を計測する条件として,プラグの引き抜き操作に関する項目(引き抜き角度,引き抜き時間)を明確にすることで,より正確な保持力試験が実施できる可能性が高くなると考える.
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