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当院病棟における電界強度調査の実施および今後の課題
湯岑 葵、加志崎 晃典、山本 浩平、濱田 あすか、仙頭 正人
医療法人尚腎会 高知高須病院 臨床工学部
【背景】
当院病棟では,過去に医用テレメータの電波が受信できない事例が発生したことから,2010年7月より受信アンテナシステムを導入している.しかし,受信アンテナシステムの耐用年数を超過しており,経年劣化による電波障害の可能性がある.
【目的】
電界強度調査を行い,経年劣化の有無と今後の課題について検討した.
【対象】
受信アンテナシステム(構成:ホイップアンテナ,同軸ケーブル,分配器,集合器,電源ブースター,ラインブースター)
【方法】
病棟詰所にて,NEC製電界強度計SpeCat2を用いて受信アンテナシステムの電界強度を測定した.
測定箇所は全病室35部屋と観察室1部屋,東西共用トイレ,歓談ルーム,食堂の計40箇所とし,テレメータ用送信機とホイップアンテナ(以下アンテナ)間には人などの遮蔽物がない状態で,電波信号がバックグラウンドノイズから数えて30dB以上(メーカー推奨)であるか確認した.
【結果】
電界強度測定を実施した40箇所中,50dB以上が15箇所,40dB以上50dB未満が17箇所,30dB以上40dB未満が4箇所,30dB未満が4箇所であった.
電界強度が基準値以下の箇所は食堂(29dB),観察室(26dB),病室35部屋中1部屋(26dB),歓談ルーム(23dB)の4箇所であった.
【考察】
電界強度が基準値以下の病室は耐用年数の超過による経年劣化が考えられた.また隣接している病室では基準値に問題がなかったため,劣化箇所は分配器までのアンテナ及び同軸ケーブルと考えられた.
歓談ルームや食堂,観察室においては,病室とは異なるため元々アンテナが設置されておらず,近くのアンテナが電波を受信したためと考えられた.そのため,受信アンテナシステムの更新とともに未設置箇所への増設が必要であると考えられた.
公益社団法人日本臨床工学技士会:医療機器安全管理業務における医療ガス及び電波の利用に関する指針に,年1回程度は手引きを参考に簡易的でもいいので医用テレメータの電波環境測定を実施することが望まれると記載されている.今回の経験を活かし,当院でも年1回の点検実施を検討する.
【結語】
経年劣化が認められたため,受信アンテナシステムの更新および設置箇所の増設,また年1回の簡易点検を行い,異常の早期発見に努めることが必要である.
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