BPA1-3

Respiratory ECMO予後関連因子の検討

落葉 佑昌、上野 秀則、加藤 光貴、井口 浩貴、大西 啓太、平山 隆弘、岩藤 晋
岡山大学病院 臨床工学部

【緒言】
 ELSOガイドラインによるとRespiratory ECMO導入について除外基準はない.しかし,ECMOが有効な症例については未だ明確ではない.

【目的】
 当院におけるV-V ECMO患者の予後関連因子を後ろ向きに検討する.

【方法】
 2013年1月から2018年4月までに当院でV-V ECMOを導入した患者17名を対象とした.生存退院した症例を生存群(n=10),院内死亡した症例を死亡群(n=7)とした.  比較検討項目は,年齢,性別,診断名,ECMO導入前の血液データ(PaO2,PaCO2,pH,Lac,クレアチニン,BUN,CK,ビリルビン),人工呼吸器設定(プラトー圧,PEEP,FiO2,P/F ratio),ノルアドレナリン投与量とした.統計学的検討は,Mann-Whitney U検定を用いた.

【結果】
 PaCO2(中央値(最小−最大))は,生存群:44.85(33.8-72.1) vs. 死亡群:64.00(42.9-132.7) mmHg(p<0.05),ビリルビンは,生存群:0.95(0.26-10.91) vs. 死亡群:2.16(1.22-23.82) mg/dL(p<0.05)と有意差を認めた.PaO2は,生存群:60.5(28.9-75.0) vs. 死亡群:67.3(38.0-127.0) mmHg(p>0.05),ノルアドレナリン投与量は,生存群:0.11(0-0.23) vs. 死亡群:0.06(0-0.41) γ(p>0.05),CKは,生存群:81(8-2312) IU/L vs. 死亡群:286(26-93360) IU/L(p>0.05)と有意差を認めなかった.そのほかのデータにおいて有意差は認めなかった.

【考察】
 Ⅱ型呼吸不全では,Ⅰ型呼吸不と比較して平均血圧上昇,心拍数増加,肺高血圧,右心不全を生じることが知られている.本研究では,死亡群がPaCO2,ビリルビンが有意に高かった.CKは高く,ノルアドレナリン投与量は低い傾向を示した.V-V ECMOは,循環補助が出来ないため,導入前の低酸素高二酸化炭素血症が与える循環への影響が治療成績に関与したと考えた.

【結語】
 V-V ECMO予後は,PaCO2,ビリルビンの関連が強いことが示唆された.V-V ECMO導入は,循環評価が重要だと考えられる.

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