BPA1-2
気象条件による緊急PCI件数の変動について
高畑 卓弥、光家 努
高松赤十字病院 医療技術部 臨床工学課
【はじめに】
急性冠症候群(ACS)の発症リスクには様々な要因が挙げられている.その中には気象条件も含まれている.今回,香川県での気象条件で緊急PCIの件数に差が出るか検討したため報告する.
【方法】
2015年から2017年で院外発症のACSに対して緊急PCIを施行した件数を月別,季節別,平均気温,平均気圧で比較検討を行った.また,ACS発症日と非発症日の平均気温,最高気温,最低気温,平均気圧の比較も行った.季節は春季(3−5月),夏季(6−8月),秋季(9−11月),冬季(12−2月)と定義した.平均気温(T)を低気温群T1(T<10℃),中気温群T2(10≦T<20℃),高気温群T3(T≧20℃),平均気圧(P)は低気圧群P1(P<1.009hPa),中気圧群P2(1.009≦P<1.016hPa),高気圧群P3(P≧1.016hPa)の3群に分けた.気象情報は気象庁ホームページの提供を使用した.
【結果】
緊急PCI件数は184件であった.月別では1月が23件と多く8月が6件と少ない結果となった.季節別では春季:44件(23.9%),夏季:37件(20.1%),秋季:42件(22.8%),冬季:61件(33.2%).気温群別ではT1:65件(35.3%),T2:64件(34.8%),T3:件(29.9%),気圧群別ではP1:36件(19.6%),P2:63件(34.2%),P3:85件(46.2%)だった.発症日と非発症日の平均気温は発症日:15.2±8.1℃,非発症日:17.4±8.0℃と発症日が有意に低い結果となった(P<0.01).最高気温は発症日:19.3±8.5℃,非発症日:21.7±8.3℃と発症日が有意に低く(P<0.01),最低気温も同様に発症日:11.4±8.1℃,非発症日:13.5±8.3℃と発症日が有意に低かった(P<0.01).平均気圧では有意な差は見られなかった.
【考察】
香川県は1月の平均気温が5.5℃ともっとも低く,8月の平均気温が28.1℃ともっとも高い.件数と比較しても1月が多く,8月が少ない結果となっており,これは沢登らが報告している検討と同様で低気温の日には末梢血管抵抗,血圧の上昇などの要因で発症数が多くなる傾向と考えられる.
【結語】
今回,香川県での気象条件と緊急PCI件数で差が出るか検討を行ったので報告した.
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